経営品質活動Quality Management Activities

2004年度
三重県経営品質賞申請書

組織プロフィール

(1)組織価値観

①大切にしている価値観

万協製薬株式会社は1960年3月に兵庫県神戸市長田区にて創業しました。本年2004年で45年の歴史を持つ、スキンケア商品専門の製造メーカーです。社名の由来は「万人が協力して、良い製品作りを行う。」という創業時のスローガンからです。現在、資本金は4,000万円、従業員数は50名です。工場は当初神戸市にありましたが、1995年1月の阪神大震災にて全壊して、翌年11月に三重県に移転しました。敷地面積は10,000m,延べ床面積は2,500m2です。2004年度は更に10,000m2を拡張して新工場を建設しました。

弊社の行っている事業は、一言で言うとスキンケア製品の企画、開発、製造を通じて人々に「美と健康」を確実、迅速、安価、快適に提供することです。言い換えればスキンケア製品のアウトソーシングサービス業といえます。事業内容としましては、現在4つの事業に取り組んでいます。

  1. 万協製薬が自社開発・製造品を顧客に提供する事業
  2. 顧客が開発した製品を、万協製薬が受託して製造する事業
  3. 万協製薬が開発・製造し販売先顧客のブランドをつけて販売するOEM生産事業
  4. 万協製薬が、開発し製造した製品をドラッグストア向けのストアブランドのパッケージをつけて顧客に販売するPB生産事業

万協製薬株式会社における事業モデル別分担表

事業モデル 開発 製造 販売 品質管理
1,3,4 万協 万協 顧客 万協
顧客 万協 顧客 両社にて行う

1.につきましては同業の他社も行っている業務ですが、弊社では自社の開発・製造をスキンケア製品のみにしているところが特長です。 2.につきましては弊社が三重県に移転してから積極的に行っている事業です。日本は薬事法の改正によって開発と製造が分離する傾向が進んでいます。 弊社は、いち早く他社が開発・製造を行ってきた製品を自社で受託製造を行ういわゆるアウトソーシングサービス事業に特化しています。 1.と3.の業務の違いは、3の場合は相手先のブランド名で発売されるので、マスコミ力をもつメーカーの製品に取り上げられる場合は、 弊社がすべてを担当する1.の場合と違い短期間に大量の売り上げをすることが可能です。

また、4.につきましては日本のドラッグストアがチェーンストア化の一途を辿っており、ストアブランドが求められる傾向がありますので、 そういった顧客への製品の提供を始めました。3.と4.との違いは3.は顧客が製造・販売メーカーであり、 4.は顧客が最終消費者に近いドラッグストアまたは、そのドラッグストアに製品を納入している流通会社が顧客となります。

4.の事業は、弊社が手がけているテーマの中でもっとも新しいものです。

こういった4つの事業テーマを追求することにより弊社は、三重県立地の8年間で約20倍の売り上げ規模を達成しています。 これは、スキンケアという特定のニッチ分野に「選択と集中」を行い、顧客に対して迅速、安価、確実、快適なサービスを提供し続けてきた結果であると思います。 弊社は最終消費者に直接製品やサービスを届けることはしていませんが、弊社製品を実際に使用する最終消費者を、顧客として認識しています。 弊社の規模では、製造する製品をすべての消費者の手元まで製品を届けることは、できません。 そのためこのような4つの顧客と協力して最終消費者への価値創造を行っています。 また、自社の製品の中でもクリーム剤の製造に特化しているのも特徴のひとつです。

弊社の将来についての夢は、一言で言うと「日本一のクリーム剤を作りたい!」というものです。 スキンケア製品には、大きく分けて、クリーム剤、軟膏剤、液剤があります。 この中では、自社の強みは、他社より質感の高い製品づくりを軟膏剤・クリーム剤の形で提供するということです。液剤は基剤が、単純で製品としては、 他社のものと違いをつけることが、難しいのです。その点、クリーム剤は油と水を複雑な乳化工程によって混ぜることによって作られます。 もっとも、解りやすい乳化製品は牛乳です。 本来、混じり合わない水と油を一つにすることにより、今までになかった質感や効き目の製品を作り出すことが可能になったのです。 弊社はこの乳化技術をより進化させ、日本でもっとも優れていて、もっとも顧客に愛されるクリーム剤をひとつでも多く開発して世の中に出したい。 と考えています。これは現社長である松浦信男の思いが、強く出たものです。 このことを全社員と共有するため、社長はことあるごとにこの言葉を口にします。 「ある分野でナンバーワンにならなければオンリーワンにもなれない!」と社長は強く主張します。 この思いを社員全員で共有すること、また、顧客・市場・自社組織のニーズ変化に柔軟に対応するため、 社員一人一人が会社としての共通認識を持つ必要から弊社では、企業理念を以下のように掲げています。

万協製薬株式会社企業理念

  1. 万協製薬株式会社は、社業を通じお客様と社会に貢献する。
  2. 万協製薬株式会社は、会社の発展と共に従業員の心物両面の向上を追求する。
  3. 万協製薬株式会社は、お客様のニーズにお応えする最高水準の技術と製品の提供により業界No.1カンパニーを目指す。
  4. 万協製薬株式会社は常に誠実を旨とし地域社会の信頼を得るよう努める。
  5. 万協製薬株式会社は独創性を持ち迅速・確実・安価・快適であることを最高の価値基準とする。

すべての会社の考え、社員の考えがこの企業理念に集約されています。変えていきたいこと、変えてはいけないことすべてが、この中にあるように思えます。 また、社長自らの考えや生き方の哲学を現した全11箇条からなる「バンキョーフィロソフィー」も社員全員との心のコミュニケーション手段となっています。

②経営の変遷

万協製薬株式会社の創業のきっかけは創業者である松浦太一が昭和20年代にはじめた「薬局皮膚病研究会」です。この研究会は兵庫県の阪神地区の開局薬剤師がはじめたものです。同じ販売業に携わる薬剤師が経営上の悩みや販売の効果的な方法について定期的に集まり意見を交換するといったところが始まりの趣旨でした。

そのうちにメーカーが作った製品を販売するだけでなく会員で自分たちが考えた製品を製造しようという気運になりました。これらの製品は「薬局製剤」と呼ばれ薬剤師が自らの店舗の調剤室においてのみ製造・販売することが可能な品目です。薬局製剤の研究は月日を追うごとに熱を帯び、数々の医薬品が開発・製造されそれぞれの会員の店舗で製造販売されるようになりました。

次第に販売量が増えていく中で、一カ所でまとめて製造してはどうかという話が持ち上がり神戸市長田区の旧保健所の建物を買い取り、万協製薬株式会社として新たなスタートをすることになりました。創業社長である松浦太一は年齢が一番若かったことと、建物の購入費用を自分で出したことから初代経営者となりました。創業当初より万協製薬株式会社は製造のみに徹して販売はそれぞれの会員が属していた開局薬剤師組合の「日本薬局協励会」に一括して任せることになりました。順調に出発した万協製薬株式会社は日本の高度成長にあわせて順調に製薬会社として売り上げを伸ばしていきました。しかしながら呉越同舟として集まった経営者たちですのでそれぞれの薬局の経営を優先するという方針のなかで統一した企業運営に問題が出るようになり創業20年を数えるころには実質、松浦太一のみが経営の舵取りを行うようになりました。

二代目社長である松浦信男の入社は創業22年目の1982年でした。松浦信男は入社当初より販売会社一社のみに依存した経営は危険であると指摘し続けましたが、長年かかって作られた方式を変えることは難しいものでした。現社長は、旧態依然とした社長の独断による会社組織、販売会社との確執に苦しみました。「親の仕事を継ぐことは大変なことだった。家業を継いだ人は親孝行の80%は終わっているんだ。」というのが現社長の口癖です。当時の松浦は「自分を殺して、大人にあわせることで、日々を送っていた。」といいます。

彼は入社2年後の1984年に「自分で薬を創れるようになりたい!」という決意を抱いて徳島文理大学薬学部に進学します。社内を変えるには、まず自分が変わらなければいけない!と考えたのです。会社の重苦しい雰囲気から自由になりたかったのかもしれません。徳島での4年間で彼は多くのことを学びました。「人と人が分かり合わなければ組織は機能しない。」ということを放送クラブの運営を通じて学びました。

しかし、松浦が大学に進んだ4年間の間、会社は大きく変わることはありませんでした。初代社長は製薬会社とは別に医薬品の販売店の会社も経営していましたので、どうしてもおざなりな経営になりがちだったようです。

松浦が大学を卒業して、夢を抱いて帰った会社は4年前とまったく変わっていませんでした。現社長は、その時のことをこう話しています。「僕は、会社に戻って、3日間で自分が社長になったほうが、すべてのオペレーションにおいて会社がうまくいくことを、確信したんだ。だから、父に僕を社長にするように進言した。ところが、大反対されたね。おまえは会社で、革命を起こす気かってね。その後も自分なりにいろいろやってはみたけど、空回りが多かった。だれも給料をもらう人には逆らえない。当時の万協はそんな会社だった。地震の日までの僕は、本気と本音を出せないことに苛立っていた」と。

創業35年目の1995年1月17日に神戸は、阪神大震災という戦後最大の巨大地震に遭遇しました。長田区は特に被害がひどく、万協製薬株式会社の3階建て本社・工場は1階部分が挫骨して2階以降の建物が南側に約3メートル移動するという未曾有の被害を受けました。会社にある書類以外のすべてのインフラを、一瞬のうちに失いました。また、工場のあった長田区御屋敷通地区の被害がひどかったため、同地区は再開発指定区域となり、工場の建設は禁止となりました。

同地での再開が絶望的となるのを知った二代目経営者の松浦信男は、失意に沈んだ松浦太一を説得し、実質的な経営権を委譲してもらいました。ところが、弊社製品のたった1社の取引である販売会社は、弊社の再開についての援助を拒否しました。ひとつしかない販売会社は、同様の製品は他社からも買えるので無理して再開の必要はない。と松浦に告げました。

当時32歳であった現社長のショックは莫大で、再開への見込みを失った松浦は、会社の後片づけについての社員らとのトラブルから、会社の精算を決意します。社員は、見込みのない会社に見切りをつけるかのように、会社再開への協力を拒みました。「自分の無力さからの行為だった。誰も愛さない、必要としない会社なら、僕自らが、終わらせようと思ったんだ。」と当時を振り返って松浦は言います。「全員の解雇を言い渡したときの、みんなの顔ってなかった。話したのは壊れた工場の2階で、西日でよく見えない社員の顔を覗き込んだら、全員ボーとしているんだ。僕はあの時のみんなの顔を忘れない。あとになって、ずいぶんうなされたよ。あの時、経営者とはなんて辛い仕事なんだって思った。何かあったときのために大きなハサミを胸に隠していった。結局、どんな騒ぎにもならなかったけれど、そういった自分の行為も含めて辛かった。会社が終わるってこういうものなのか、って思った。」

松浦はまた、自分の父がこのすべてに関わらなかったことも残念に思いました。「結局、何も決断選択しないことは、もっとも責められるべき経営行為なんだよ。経営とはつまり選択の連続なんだ。」

会社を終わらせようと思った松浦は、そのときに顧客からの大量の注文を受けていることを販売会社から知らされました。それは、二度となくなる製品なら、今のうちに買い占めておこうという顧客の欲望の集積でしたが、しかしながら、そのことが皮肉にも、松浦の再起を促すことになりました。

彼は当時を振り返って、こう言います。「僕は地震の2週間後、社員を全員解雇したあと一人になってこう考えた。たぶんこの後どんな人生を歩むことになっても、この地震以上に大きな事件は起こらないだろうと。自分の人生最悪の日は阪神大震災の日なんだ。実際初対面の人は、今でも地震の話を僕に聞きたがるんだ。そうであるならば、地震を境に本当にやりたかった生き方を試してみよう。地震の前には決してやらなかったことを今度はやってみようと。誰かに生き方を問われたら僕は、阪神大震災でグレたんですって、いうことにしたんだ。こう考えると今までのもんもんとした人生が晴れるような気がしたな。」

そこで松浦は、かねてから友人であった永井達夫氏の薦めもあり、同氏が経営する大阪の「東洋漢方製薬株式会社」の経営者となり、設備を修復し以前の会社の人員の一部を移すことで地震後半年を待たずして再開を果たしました。地震の前であれば、このような決断はできなかったことでしょう。

翌年の1996年には神戸の跡地が神戸市の買い上げとなり資金のメドがついたことから、松浦信男が万協製薬株式会社の社長になると共に、三重県多気郡多気町にて単独独立の工場を立ち上げることができ現在に至っています。

現在のメイン事業であるアウトソーシング業については、自らが体験した震災の際に、自社では製造できないので製造を他社へ委託しようとしましたが、簡単に引き受けてもらえなかったことがきっかけです。弊社のように地震ではなくても他の要因で製造を継続できない企業もあるのではないか?そういう企業へのサービスはビジネスになるのではないか?という予測からはじめた事業です。

(2)顧客認識

①主要な顧客・市場とその特長

現在の日本の人口は1億2,700万人です。昭和20年の人口が6,500万人ですが、おおむね倍の人口になっています。日本の経済や産業の発展も実は人口の伸びが理由であると言われています。ところが、日本の人口は来年から減ることになります。平成14年の出生率は約112万1,000人です。平成13年度に比べて3万3,000人減っており、大幅に減っているわけです。このままの勢いで子供が減るとすると来年から日本の人口が減ることになります。2050年、今から46年後日本の人口は、9,200万人で、今より3,500万人減ることになります。さらに50年経った2100年には今の3分の1の4,600万人になると推計されています。これは太平洋戦争の年の日本の人口より少なくなってしまいます。このため、弊社の製品を使用する人口は、日本での販売のみと考える場合、長期的には減少傾向にあります。また、しかしながら、日本の高齢化によって医療費は2025年には現在の2.1倍の69兆円に達する。この2025年までは日本の高齢化が進むために、弊社製品の大半を占める医薬品の重要は伸びていくと考えられます。しかしながら、弊社の売り上げの80%を占める薬局・薬店で扱う大衆薬は、価格の下落などで縮小傾向に歯止めがかからない。現在、大衆薬の市場が1997年の9,607億円をピークに下落し、2003年は7,223億円の売り上げとなっている。この原因はいくつか考えられています。

1.業界内部でのパイの奪い合い
(稼ぎ頭だったドリンク剤はドラッグストア店頭で、同業メーカーが供給する半値  以下のプライベートブランドの安売り攻勢にさらされている。)

2.新製品開発を阻む厳しい規則
(薬事法で治療目的の薬しか許可されず、予防効果を持つ医薬品は開発できない。医療用医薬品の成分のうち大衆薬に使用できるものが少ない。)

3.新規事業に手が回らない
(海外の巨大製薬企業に対抗するため、本業である医薬品の開発に注力せざるを得ず新たに健康食品事業にまで経営資源を投入できない。)

4.新しいライバルの出現
(医薬品として販売するビタミン剤は薬系ルートに限定されるが、ほぼ同じビタミン量を含有したサプリメントを食品や化粧品メーカーが発売している。)

特に4.の項目にあるように健康食品の売り上げが3年後には大衆薬を追い抜く勢いとなっていることが、原因の最大要因と思われる。弊社の顧客は、スキンケア製品のアウトソーシングサービスを求める企業およびそれを使用する最終消費者といえます。企業としての顧客は、大きく分けて2つあります。1つ目は弊社のように工場をもちその一部の工程を弊社に委託している委託先企業です。2つ目は工場を持たず完成品として弊社の製品を仕入れて販売している販売先企業です。それぞれの特長としては委託先企業の場合はあくまで弊社は、製造工程の一部を受託しているという認識から相手先企業と入念なコンサルティングを行い、あたかもお客様が自社で製造を行っているかのようなレスポンスのいいサポーターであることを弊社は求められています。また、製造受託という業務の性質上、納期、価格、品質については大変厳しく要求されています。このサービスは弊社が震災時に工場を失った際になかなか製造を受託してくれる企業がなかったことから考えたサービスです。ここには日本の薬事法の複雑さによるものや製薬会社の閉鎖性が理由として上げられます。販売先企業の場合は弊社が製造元となりますので100%弊社の企画、製造、となりますのでア.の場合と同じくコンサルティングは重要ですが、それに加えて弊社の提供するトータルのサービスのレベルの高さや製品の完成度をよりいっそう強く求められています。この先の消費者である最終顧客については、企業側の顧客の満足度調査などを参考にして、顧客理解につとめています。弊社では、日本の大衆薬の伸びが今後期待できないことから、大衆薬に製品を限定することなく、医療用医薬品、医薬部外品、化粧品、医療用具へとジャンルをのばすことを考えています。日本の薬事法のカテゴリーをこえて、スキンケア製品という製品の特性に注目したサービスに特化していきたいと考えています。

②提供している製品・サービスのもたらす価値、利便性

従来日本の製薬会社では企画、開発、製造、販売までを一貫して行うことのできる「フルラインメーカー」が主流でした。この理由としてはア.製薬会社を統轄管理している厚生労働省が開発と製造の分離を認めなかったことと、イ.薬の販売店が高利益率商品である薬を他店に販売されないように販売会社と契約してエリア限定販売を行ってきたからです。

しかしながら、ア.については平成6年から製造工程のうち、一工程を委託先企業が自ら行うことで他の受託先企業に製造を委託することのできる「製造委受託法」ができたことによって 大きく変化しました。平成17年4月からは全行程を製造委託することができるようになり、この傾向はいっそう加速していきます。すなわち全行程を委託することで極端にいうと工場を持つ必要が無くなりますので、製品開発行為に会社の資本を集中できることで国際競争力のある医薬品の開発が可能となるのです。また、イ、については全国をカバーする販売店をもつメガドラッグストアーが誕生したことにより製造メーカーによる地域限定販売や価格維持販売が難しくなってきています。ア、イ、ともどもの理由にあるとおり日本の薬業界は大きな変化の時代を迎えており弊社はスキンケアという特定の分野のみですがお客様にあわせた個別対応を行うことで満足を頂いております。ア.の場合において顧客は、設備投資や開発行為への投資をすることなく、スキンケア製品を入手できますので、経営資源を自社の最も得意とする部分に注ぐことができます。これはスキンケア製品がニッチな市場であるにもかかわらず、良い製品を開発するノウハウは必要であることから、必要とされているサービスです。イ.の場合において顧客は、従来の製品より安価で他店にない包装携形態の製品を入手することで、他店に負けない品揃えが可能となる点が、必要とされるサービスです。

③顧客・市場の要求・期待

弊社では行うサービスの範囲をスキンケア製品と限定しています。これは製薬市場では全製造金額の1割にも満たない小さな市場です。しかしながらお客様は専業メーカーであるがゆえの「期待」を弊社に持っています。最初にかかげた4つのテーマすべてにおいてお客様が今求められているのは、スピード、価格の安さ、製品やサービスの信頼度、商売においての対応の心地よさであると弊社では考えています。このすべてにおいて 弊社はよりいっそうの加速度で応えていかなければなりません。

(3)競争認識

①競合他社とその特長

弊社は主要サービスであるアウトソーシングに特化して8年になります。当初平成8年の売り上げは3,700万円であったものが平成16年には7億6,100万円と2,056%という驚異的な伸びを示しています。取引会社も当初の1社から現在は37社と年間5社のペースで増加しています。このことは弊社の提供しているサービスが従来なかったもので、いかに顧客に支持されているかといった証拠といえます。日本には弊社と同じようにスキンケア製品のみを製造している製薬会社は数十社です。その多くは自社専門のブランドを持ち自社開発、自社製造をおこなっており弊社のように受託製造を主力と考えている企業はそのうち数社です。しかしながら法律改正にともなって新規の参入企業が増えつつあるのが現状です。

②顧客・市場における競合他社との位置づけ

他社の具体的なデータが公表されていないので詳しく書くことは出来ませんが、受託製造はこの10年で現在の2,000億円規模から4,000億円規模 に増加することがシンクタンクなどの分析で明らかとなっており、今後弊社のように、ア、医薬品企業のなかで受託業務を新設する会社、イ、化粧品企業のなかで受託業務を新設する会社、ウ、国内であらたに受託業務専門として起業する会社、エ、海外に工場を持ち日本の医薬品を安価で加工するサービスを行う会社の4種類が競合となりますます競争は激化していくものと思われます。

③現在の競争力の源泉

弊社の競争力の原泉となっている重要な要因は、阪神大震災で全壊した医薬品製造工場を他府県において短期間に再建したノウハウ、行動力、実行力であると考えています。多くの企業は変革について後ろ向きです。規制に守られ閉鎖的な製薬業界においては、それがより顕著であるのが現状です。特に弊社のような中小企業においては経営者に変革への意識や問題づけが希薄であることから旧態依然の経営方針であると思われます。弊社ではこの状態を焼酎メーカーと比較して「地酒屋商売」と呼んでいます。この商売の特長は自社は優れている点を他社と比較せず、お客様の意見を取り入れず、旧来の販売方式にのっとって商売をおこなっている点です。もちろんすべての地酒メーカーがそうではないですが、弊社は震災後の再建において焼酎メーカーの戦略に学ぼうと考え、実践しました。この理由として、焼酎の独自の臭みを消すために、顧客から提案された、ブレンドの仕方を柔軟に受け入れ、弱みを強みに変換した点、あえて販売組織を自社で持たずに、よりそれに長けた他企業とコラボレートすることにより短期間に市場のシェアをとった効率性などです。すべての製造ラインを失った限定された工場、地域や法律の変化・適用によって右往左往した弊社、このすべてを短期間でクリアした構想力・実現力こそが万協製薬株式会社が他社に提供することの出来るダイナミズムであると考えます。

④顧客・市場をめぐる競争環境の変化

平成17年4月の法律改正によって製造メーカーはア、開発行為を主要業務とするものとイ、製造行為を主要業務とするもの、ウ、販売行為を主要業務とするものに大きく分かれることが予想される。この変化は従来曖昧であった業界の再編に繋がる大きなものであると考えられます。このなかでア、イ、ウ、はそれぞれ弊社の顧客となりますが、同時にあらたに出現する競合相手であるともいえます。いずれにしても従来の競争相手にないスピードを兼ね備えていることが特長といえます。

(3)競争認識

①競合他社とその特長

弊社は主要サービスであるアウトソーシングに特化して8年になります。当初平成8年の売り上げは3,700万円であったものが平成16年には7億6,100万円と2,056%という驚異的な伸びを示しています。取引会社も当初の1社から現在は37社と年間5社のペースで増加しています。このことは弊社の提供しているサービスが従来なかったもので、いかに顧客に支持されているかといった証拠といえます。日本には弊社と同じようにスキンケア製品のみを製造している製薬会社は数十社です。その多くは自社専門のブランドを持ち自社開発、自社製造をおこなっており弊社のように受託製造を主力と考えている企業はそのうち数社です。しかしながら法律改正にともなって新規の参入企業が増えつつあるのが現状です。

②顧客・市場における競合他社との位置づけ

他社の具体的なデータが公表されていないので詳しく書くことは出来ませんが、受託製造はこの10年で現在の2,000億円規模から4,000億円規模 に増加することがシンクタンクなどの分析で明らかとなっており、今後弊社のように、ア、医薬品企業のなかで受託業務を新設する会社、イ、化粧品企業のなかで受託業務を新設する会社、ウ、国内であらたに受託業務専門として起業する会社、エ、海外に工場を持ち日本の医薬品を安価で加工するサービスを行う会社の4種類が競合となりますます競争は激化していくものと思われます。

③現在の競争力の源泉

弊社の競争力の原泉となっている重要な要因は、阪神大震災で全壊した医薬品製造工場を他府県において短期間に再建したノウハウ、行動力、実行力であると考えています。多くの企業は変革について後ろ向きです。規制に守られ閉鎖的な製薬業界においては、それがより顕著であるのが現状です。特に弊社のような中小企業においては経営者に変革への意識や問題づけが希薄であることから旧態依然の経営方針であると思われます。弊社ではこの状態を焼酎メーカーと比較して「地酒屋商売」と呼んでいます。この商売の特長は自社は優れている点を他社と比較せず、お客様の意見を取り入れず、旧来の販売方式にのっとって商売をおこなっている点です。もちろんすべての地酒メーカーがそうではないですが、弊社は震災後の再建において焼酎メーカーの戦略に学ぼうと考え、実践しました。この理由として、焼酎の独自の臭みを消すために、顧客から提案された、ブレンドの仕方を柔軟に受け入れ、弱みを強みに変換した点、あえて販売組織を自社で持たずに、よりそれに長けた他企業とコラボレートすることにより短期間に市場のシェアをとった効率性などです。すべての製造ラインを失った限定された工場、地域や法律の変化・適用によって右往左往した弊社、このすべてを短期間でクリアした構想力・実現力こそが万協製薬株式会社が他社に提供することの出来るダイナミズムであると考えます。

④顧客・市場をめぐる競争環境の変化

平成17年4月の法律改正によって製造メーカーはア、開発行為を主要業務とするものとイ、製造行為を主要業務とするもの、ウ、販売行為を主要業務とするものに大きく分かれることが予想される。この変化は従来曖昧であった業界の再編に繋がる大きなものであると考えられます。このなかでア、イ、ウ、はそれぞれ弊社の顧客となりますが、同時にあらたに出現する競合相手であるともいえます。いずれにしても従来の競争相手にないスピードを兼ね備えていることが特長といえます。

(4)経営資源認識

①人的資源に関する主要な特長

弊社の人的資源は大きく5つにわけられます。ア、製造部門 イ、開発部門 ウ、品質保証部門 エ、営業部門 オ、総務・経理部門です。企業は人なりという言葉のとおり弊社でもっとも重要と考えているのが人的資源です。各業務の振り分けは8年前に3人で起業したときの仕組みを現在の50名の規模にブローアップした仕組みになっています。他企業に比べて特徴的なのはア、イ、ウ部門に比べてエ、オ部門は全従業員の1割程度という人員比率です。これは弊社の完全受注生産方式によりエ、オの部門が省力化出来ている点にあります。業務についても既製品を売り込むのではなくひとつひとつ弊社工場・研究室にてオーダーメイドしていますので、お客様が弊社を訪ねられることが多くすべての部門がエ、オの部門をサポートする仕組みを取りやすいのです。2003年度には社員にノートパソコンを支給し社内LANを構築して情報のデジタル化の一歩を踏み出しました。またそこから得られたエッセンスはホームページを通じて顧客に発信されるしくみを模索しています。

②主要なノウハウ、知的権利、設備、施設の特長

弊社のコアコンピタンスは「高分子基材を使用したゲル乳化技術による高品位のクリームの製造」です。そのため開発部門はこのノウハウを利用した新しいスキンケア製品の開発を行い、製造部門はこの製造を生産する設備に特化しています。各分野とも全国から優秀な技量を持った人材を年齢、学歴、性別にこだわることなく募集して採用しています。開発部門では化学系の専門職をできるだけ求人して採用しています。製造部については三重県が工業において多くの企業があることから実経験を積んだ優秀な人材を集めやすいです。また、受託製造という業務ゆえに製造設備を自社効率のみに考えることなく顧客の求める量で作ることの出来る各種のサイズの生産機種をそろえています。この点は委託企業から、不要な在庫を持つことが減ると、大変喜ばれています。他社で開発された製品にはこのノウハウを利用できないこともありますが、高品位のクリーム剤の開発・製造でつちかわれた技術・製造方法が受託企業からの厳しい要求に応えられる潜在的ポテンシャルとなっています。このコアコンピタンス技術は各製品ごとに厚生労働省に申請され審査され日本国の承認書として国際的に権利が認められています。弊社はこの製造承認を約100品目取得しています。また、本年度からはこの技術を特許として特許庁に申請する準備を始めています。また、2004年3月には弊社の提出した改善経営計画書により三重県より経営革新企業の認定を受けました。

③財務状況や財務活動の主要な特長

弊社の資金は主に政府系金融機関である中小企業金融公庫と都市銀行であるみずほ銀行、地方銀行である百五銀行から調達しています。本年度からは新たに商工中金から融資を受けています。弊社はその資金を製造設備、開発・品質保証設備に特化して投資しています。2004年3月の決算では総資本が5億から10億と1年間で倍増しました。多くは新工場建設のためです。資本は増えましたが、新工場の全稼働はまだ順次ですのでより財務体質の強化が必要です。

④主要ビジネスパートナーの特徴とお互いに求める要求・期待について

弊社のビジネスパートナーは現在約40社あります。この特徴はやはりスキンケアビジネス独特の原料、資材メーカーです。弊社がどのように努力しても使用する原材料に問題があってはいけませんので、仕入れ先については十分吟味を行い品質を互いに確認すると共に必要な場合は年間1回程度の製造所査察を行っています。これらのビジネスパートナーに弊社の考えや基準を理解してもらうため担当者を通じて弊社の理念の徹底をはかっています。また、最近では弊社が業務を委託するメーカーも出てきており、それぞれにあった管理体制の構築が必要と考えています。

(5)変革認識

①組織価値観から見た変革認識

弊社の価値観は二代目経営者である松浦信男が作ってきた物が多く、現在も松浦信男の判断によって大半の行為が実行されているのが現状です。しかしながらこのことは経営者自らが一番危機意識を持っているところであり変革してゆきたいところである。なぜならば、組織の肥大に伴い共通認識の重要性が日増しに高まってきているからです。

各部門のリーダーへのエンパワーメントが行われないと、これ以上の成長は不可能であると経営者は考えています。今回の経営品質のアセスメントを従業員と共に行うことで経営者は変革の内容、スピード、共有する価値観についてより各人の理解と協力を得たいと考えています。

②現在策定している戦略課題と目標

ア、年率5%の売り上げ成長と税引き前利益10%の確保
このことは、利益率のみが現在達成出来ていないのですが今後の設備投資についての自社での担保をする必要からです。これは今期以降毎年実現してゆきたいと考えています。

イ、社内情報すべてのデジタル変換およびLANによる共通化
これにはセキュリティや変換にかかるコストなど勘案しなければいけない問題がおおくありますが、2年以内の実現を目指しています。

ウ、お客様とのより緊密な連携
弊社は専門の営業職従業員がいない状態で、経営者自らが一人で行ってるのですが、一人でこなす限界がきており、営業社員の育成が急務です。このことによりより顧客との緊密な関係となるのですが、方法や教育人材も発掘など多くの課題が残されています。このことはお客様相談センターなどの設立とも連携して考えてゆきたいと思っています。

1 経営幹部のリーダーシップ

1.1 経営幹部のリーダーシップ

弊社の大切にしている価値観は、企業理念に表れています。

万協製薬株式会社 企業理念

  1. 万協製薬は、社業を通じお客様と社会に貢献する。
  2. 万協製薬は、会社の発展と共に従業員の心物両面の向上を追求する。
  3. 万協製薬は、お客様のニーズにお応えする最高水準の技術と製品の提供により業界NO.1カンパニーを目指す。
  4. 万協製薬は、常に誠実を旨とし地域社会の信頼を得るよう努める。
  5. 万協製薬は、独創性を持ち迅速・確実・安価・快適であることを最高の価値基準とする。

この企業理念策定にあたり経営幹部は、我が社のメインビジネスである「スキンケア製品のアウトソーシングサービス業 」を体現するにふさわしい言葉を模索しました。また、策定した企業理念は会社の各事務所、会社案内および従業員が携帯し、朝礼、会議などの際には全員で唱和をして、組織内外の関係者との意思統一を図っています。また、月1回おこなわれる全体会議でも価値観の共有化のための対話を行っています。

各部門長の下には「リーダー」と呼ばれる10名以下で少人数単位のチームを統括する責任者を作りエンパワーメントを効率的に行えるようにしています。

対話の機会を増やすため、週1回午後5時からの「従業員研修会」を行っています。

この会議は各部門長、リーダーが一堂に集まり、社内の種々の問題を協議する場です。多くの仕事は部門ごとに進行していて、他部門の意見を聞く機会が少なくなりがちです。弊社では、それぞれの部門の気づきを高めるためには、他部門との対話が重要だと考えています。また、発言の機会を増やすために、司会や書記を持ち回りで行ったり、対話をうながす工夫をしています。この結果は社長に報告され、改善が必要な場合の決断スピードを高めるようにしています。

この従業員研修会の議事録は、社内のコンピュータネットワークを使って、社員全員に伝達され情報の共有を実現しています。

また、「社長直行便! 万協をもっと、良くしよう提案書」という提案制度を設けています。これは従業員ひとりひとりから、提案書を自由に出してもらい社長自らが一週間以内に回答しています。出された提案については、社長自らが提案者と話し合い、お互いの気づきが得られるまで対話を続けます。経営者と社員が個別に一つの案件について話し合うこと、これは一見会社組織を飛び越えたやり方に見えるかもしれません。しかし実際行ってみると、このことはお互いの理解を深めるのと同時に日本語によるコミュニケーションの訓練となり、改善内容と同時に最大の企業理念の伝達方法となっています。

この結果は、提案書と共に社員全員に公開され、一度で解決できなかった場合には何度も効果の確認を行ってその結果も随時公表しています。

また、社内には「バンキョウ コミュニケーションボード」を設け、従業員向けに経営幹部とのコミュニケーションの成果を逐次、掲示しています。このボードには仕事の改善のみならず、会社のあらゆる情報を公開することで、業務の改善につとめようとする目的で設けられています。

この制度は、全社員が経営品質の改善に直接参加できることから、弊社では、大変重要な仕事と考えています。

経営幹部が、このような種々の手段をとることにより組織の価値実現にむけた改善・革新のための体制、制度づくりを行っています。

「社長直行便! 万協をもっと、良くしよう提案書」については最低、月1件は全員が提案を提出するよう社員に指導しています。

2.経営における社会的責任

2.1 社会要請への対応

弊社の行っている事業は、スキンケア製造ですが、その中でもっとも製造比率が高いのが、医薬品の製造です。またその中でも弊社は、外用薬に特化しています。外用薬とは医薬品の中でも皮膚の表皮に塗布することで、経皮から薬剤を吸収させて、薬効を体内に届ける薬のことです。剤形としてクリーム、軟膏、液剤を指します。

自社での製造工程は、製造部の3つの課が他社より仕入れた原料・資材を自社の製造装置にて調合・混合し、目的の形態の容器に充填したのち、最終包装をして仕上げます。

これらの製造工程は製造・検査機械を含めてすべてバリデート(実製造規模での化学的検証)されており、それをもとに品目ごとに作成された製品標準書に集約され、関係者に公開されています。

出来上がった製品は、製造単位ごとに品質管理部によって第三者の立場で、厳密なる製品試験を行った後に、適合となったものだけが出荷されるシステムを採用しています。

製造ならびに品質管理業務については、すべての工程の指示および記録が製造単位ごとに書類として指図・記録されており弊社が設定した使用期限+1年の保管をしています。これは、弊社の製造している医薬品が国民の健康に直結しており、万が一不良品が製造され出荷されることは、社会に与える影響が大きいからです。これらの工程はGMP(グッドマニュファクチャリングプロダクト)と呼ばれるWHOが制定した国際基準の管理下にあり、行政機関・他社との査察において世界中同様の運用がなされています。弊社はこの基準を遵守することで、社会からの信頼に応えています。

製造された製品にはすべて弊社の相談窓口の電話番号が記載されており、市場に出回った後は弊社のお客様相談センターを通じてあらゆるお客様の相談に答えています。また、この結果は製品ごとにデータベース化されており、随時更新してより深いお客様対応に努めています。

また、製造することで生じる排水、廃棄物についても地域環境を損なうことのないように管理値を定めて管理をし、弊社と多気町行政ともども定期的検査を行い結果については地元住民のかたにも公開しています。

また、会社周辺の環境整備についても随時、地元と話し合い美化運動に協賛しています。

また、平成15年度からは多気町の教育機関に対して一定額の寄付事業を行い事業で得た利益の一部を地元に還元しています。

また、社長自身の震災を克服して三重県で第二創業を成し遂げた経験を話して欲しいという依頼が、地域の人々から多いことから、できるだけスケジュールを工面しながら、多くの人を元気にする企業講演会を隔月1回程度、要請に応じて社長自らが、それぞれの会場に出かけて行っています。

最近では、商工会議所での講演、高校・大学などでの授業などにも応えています。

各事業につきましては現在、具体的な目標は設定された数値をクリアーしています。また、文書保存が必要なものは、文書ならびにサーバー上に構築されたLANの中に整理され公開されています。また、講演などは、CDやDVDに記録され、要請に応じて配布しています。

改善につきましては、順次経営幹部やリーダーとの会議のなかで随時話し合いを持つようにしています。

2.2 社会への貢献

弊社では、社会への貢献を高める方法については、まず社員それぞれの考え方をその方向に向けることが大切であると考えています。社長からは、全体会議の中で、いつも「人の体を幸せにするものを作っている私たちは、仕事自体が社会貢献なのだ。」といって仕事に対する責任や自覚を高めるようにしています。

特に社長は、数多くの苦闘の末に三重県で第二創業をした、経験から自社が、日本やその地域に住む人の役に立たなければ存在意義がない。と考えています。また、自社の進出を引き受けてくれた多気町の行政、住民の方々にも大変感謝しています。

昨年、自社工場の隣地に存在する物流工場が移転することになり、地元からは全く知らない環境を悪化する企業が次にやって来られたらどうしょう!と不安を抱えていました。そこで、弊社社長は、地元住民や多気町行政と協議して敷地3,000坪の工場を4億円で買収して、自社工場とすることに決めました。

今すぐに、その工場が必要なわけではありませんし、専用の工場に改装する費用もかかるのですが、社長は地域のためになるならば、と悩み抜いた末に今年3月に購入しました。

これも地域を愛する気持ちから出た行動です。このことに賛同した企業と共同で新工場を運営することで、費用の軽減も現在では行われ、本年11月には万協製薬第二工場として完成することになりました。

まず、弊社の社会や地域からの要求については、年1回程度の地域との話し合いを行っています。その中では、やはり、安心・安全という言葉がでます。製薬会社という言葉から来るイメージは環境に良くない公害を発生させているのではないかという不安が多いようです。そのためには、工場を見学いただき、製品を実際に使用して頂くなどの努力をしています。

3.顧客・市場の理解と対応

3.1 顧客・市場の理解

弊社のお客様は、スキンケア製品の開発・試作・実製造を求める約40社の日本の会社です。弊社は、自社での企業行為をスキンケアにまつわる製品についてのサービスと限定しています。人体に用いる薬のなかでスキンケアというのは実はニッチな分野です。

では、弊社がなぜこの分野に特化しているかというと阪神大震災以前は、弊社が一つの販売会社に供給を目的として設立された会社であるという点が上げられます。

当時の販売会社は弊社の業務を規定し他社への販売を禁じていました。そのため、割り当てられた外用薬のカテゴリーにのみ特化して、製品の開発行為を繰り返していました。ところが震災の後、弊社の神戸工場の再建が難しいと見るや販売会社は支援しない方針を打ち出し事実上弊社の旧来の営業方法での再開は不可能となりました。その渦中にあって二代目経営者となった松浦信男は、大きく方針を転換して、一社のみの販売から日本中の会社をビジネスパートナーとする決断をしました。中心となった技術は35年間一社のために開発を続けていた数々の医薬品でした。

その中にはスキンケア以外の製品も含まれていましたが、もっとも多くがそのカテゴリーの製品であったこと、震災によってスキンケア以外の製造設備を失ったことの二つの理由によりビジネスの分野は確定しました。

しかしながら全く他社との取引がない状況からのスタートは困難をきわめました。そのため弊社では以前からのビジネスパートナーに「どのような仕事でも引き受けますので、お客様をご紹介ください。」と願い続けました。

その中で少しずつ話があった企画に試作品を出すという形で、他社との関係がスタートしました。従来の営業は一社の販売会社に決まった商品を提案するものでしたので、新しい顧客との出会いには、工夫が必要でした。

まず、ホームページを作成して、弊社の事業内容を明らかにするとともに、自社自ら行うサービスをスキンケア製品に限定することで、顧客の選定を行いました。

弊社の顧客は大きく分けて3つになります。

1つは弊社の製品を消費者に販売する目的で完成品を購入いただける顧客、もう1つは、顧客側で自らが開発した製品の加工を弊社に希望する顧客です。もう1つは弊社の製品を使用される直接の消費者です。この区分は、弊社のかかわる仕事の範囲によって分けています。この3つの顧客を選定した理由は、長期的に市場が縮小する傾向のなかで、スキンケアというニッチ分野は、新規設備をして製造をしようとする企業がすくないことから、製品全体を供給して欲しい企業、中間加工サービスのみを委託し簡単な業務のみを自社工場で行う企業の2つになると弊社は、考えたからです。

また、直接の消費者は、弊社の製品を使用される方であり、本当の価値を判断される方であるからです。

このような3つの種類の顧客の要求・期待を理解することは弊社の仕事を進化させる上で大変重要なことです。

このため、弊社では、定期的に既存顧客に自社開発品の選考提案を行っています。これらの開発品は市販前のものが多いことから、これを行うことにより、弊社では顧客のニーズが掴みやすくなると同時に、顧客の求める製品への改良が容易になっています。

また、企業側の顧客には定期的に会社や工場を査察していただくことにより、より弊社への安心と理解を高めるようにしています。

直接の消費者については「お客様相談窓口」からの情報の伝達・フィードバック

を丁寧に行うことを目標としています。消費者を待たせないようにするためデータベース化の充実がより求められています。

また、潜在顧客については、専門誌に企業紹介の広告を掲載することで認識を高める努力を行っています。

このような、活動を行うことにより、縮小していく市場であっても弊社の製品やサービスを差別化して選択していただける顧客との関係をより深く創造してゆきたいと弊社は考えています。

今後とも同様のサービスを提供する企業がでてきても弊社らしい仕事をするために顧客・市場の理解はますます重要なものと、考えています。

現在、顧客・市場の要求・理解のためのこれらの方法については自社新規提案についての寄せられた顧客の新しい声を集計しています。顧客あってのサービス業という視点から、顧客の立場に立つ視点がより求められていることを、認識しています。

顧客・市場の理解という点につきましては、毎回の仕事のなかで顧客からいただく要望を一つずつ実現していくという点を大事にしています。また、新規提案へ寄せられた声の実現なども重要と考えています。

潜在顧客への働きかけについては、より営業的な視点で、弊社を理解いただくための施策が必要と考えています。

3.2 顧客との信頼関係

弊社が顧客からいただく声には、既存顧客からは主に製品の納期、弊社が請け負った作業の進行状況、納入した製品に対するお客様のクレーム、消費者である顧客からは、お客様相談窓口に寄せられる商品の疑問、クレーム、質問などです。

潜在顧客からは弊社のサービスについての問い合わせや工場見学への要求などがあります。

これらの企業顧客からの声について対応のやりかたですが、「顧客別苦情対応の手順書」を作成しています。これはその目的や趣旨にあわせた手順書にしたがって記録が文書化されています。このルールは顧客へ迅速に情報の伝達を行うこととその記録を後にいたっても検索できるという目的のために定められています。すべての問い合わせが顧客別のファイルとなっており発生時系列でファイルされているので、後検索も容易となっています。

また、消費者顧客に対しては「万協お客様相談窓口」を月曜日から金曜日までの午前9時から午後6時まで開設しています。ここでは、自社製品だけでなく、広くスキンケアの質問を顧客から直接受けて、担当の職員ならびに弊社の薬剤師が回答しています。このサービスはすぐにお客様が、答えを受け取れることから好評を得ています。ここでの結果はすべて、文書化され、製品別に既存の対応方法がすぐに検索できるようになっています。そのため、回答がしやすく、専門家以外でも対応することができるようになっています。ここでの対応はスピードが大切で、ここでの処理の迅速さがクレームの拡大を防ぐ重要な防護網となっています。

日常の顧客接点においては、弊社の担当部署の責任者が直接、顧客と対話・連絡を密にすることで問題解決の手法を学び、日々に人材育成も行われています。

それぞれの責任者の下した判断が尊重されることで、権限委譲も行われていると思います。弊社の顧客との信頼関係を構築する方法については、特別な視点は持ち合わせていません。しかし、日々の顧客との会話の中で、弊社は対応が早い、情報の公開性が高いとの評価をいただいています。

顧客との信頼性を構築する方法については、相手の会社の内部で検討される方法より弊社と検討することのほうが「快適だ」という状況を目指しています。

顧客が自社以外に仕事の解決を求める際には、快適さという言葉が重要であると考えます。また、この取り組みの見直し、改善・革新については常にお客様からの声を直接受け取る努力をすることで、行っています。実際には、取引先に顧客満足度調査を本年度から実施する予定です。この顧客満足度調査のなかから得られた意見を元にして達成状況の把握と改善に繋げていきたいと考えています。

3.3 顧客満足の明確化

弊社では、一つ一つの仕事においてクレームが0%になるよう全社で努力しています。このことをすすめるために従業員研修会と呼ばれる経営幹部とリーダーが話し合う会議を週1回行っています。

ここでは、その1週間に起こった仕事上の出来事をみんなで持ち寄り話し合う時間としています。現在は工場が2カ所ありそれそれが毎日顔を合わせる状況ではないことから、この会議は大変重要です。総務、製造、品質管理の3部署が、同時に顧客満足の最適化を考えることが 、重要な目線と位置づけています。

そのため、お客様の声を一堂に会して聞く機会はなにより重要と考えます。これらの結果は翌週、全従業員が文書にて閲覧できるようにバンキョーコミュニケーションボードとそれぞれのパソコンに開示されています。

また、各部門が毎日行っている朝礼とは別に月1回、経営者自らが全社員を集めておこなう全社員会議を行っています。

ここでは経営者自らが、顧客満足の重要性を従業員に伝える場となっています。このような経営者との対話こそが中小企業ならではの教育と、弊社では考えています。また、経営者に直接提案できる方法も実践されておりさまざまな形での顧客満足への取り組みが行われています。

また、年数回既存顧客に対して、新規提案を行っており、その際の声を集計しています。

目標の設定と達成状況の把握については、新規提案について全社よりの回答を目標にしています。現在は明確な顧客満足についての達成目標は設定されていません。既存顧客に対しての新規提案以外の満足度調査の実施を検討しています。

「顧客満足の明確化」の評価・改善ですが新規提案に対して顧客が、返事を出しやすい回答シートなどが必要かと思われます。現在は電話や面会によって回答を得ていますが全社に実施できていません。

しかし、この項目への取り組みについてはより明確化されるべきです。日々の業務から出てくる顧客満足についてよりいっそうの探求心が求められるべきでしょう。

4.戦略の策定と展開

4.1 戦略の策定と形成

弊社では毎年、期首に会計事務所のコンサルタントと社長が5年間の長期計画と1年間の短期計画を設定しています。5年間の長期計画は全体的な売り上げ目標や主に工場などの設備計画や製品開発の品目の策定やスケジューリングなどです。毎年の短期計画は、取引先別目標を製品別売り上げまでを含んだものとして設定しています。

これは既存のデータをもとに社長と経営幹部との話し合いで作成されるものです。

しかしながら、計画の策定には社長の判断が多くを占めています。これには弊社業務のうち社長が開発・製造・経理を熟知しており特に弊社では、専属のお客様担当の営業員がいないことから、社長が中心となって決めています。

しかしながら弊社の開発期間は1品目が数年にわたることが多く単年度での成果目標が難しいことから社長自らが、「単年度目標は意味がない。」と日頃から言っています。よって弊社の短年度計画はつねに既存品は30%ダウン、新規製品30%アップという目標を設定します。つまり、3割は毎年、新しい製品で業績をあげることを是としています。

目標設定や開発品についてはそれぞれの工程の責任者と社長が毎日膝をつきあわせた環境下で話し合われています。実際主要幹部は同じフロアで目線が感じられる位置にいます。社長室はありますが、社長はそこに入ることはありません。最近竣工した第二工場では社長室自体をなくしてしまいました。これは従業員と同じ目線で考えたいという社長の気持ちの現れです。戦略というところからはほど遠い感がありますが、実際このスタイルで成長を続けているために、変える予定はありません。

製品開発が数年にわたることから開発業務の管理はある意味、売り上げ管理より重要といえます。そのため、社長は開発を最重要の部署と位置づけ、自ら,毎日開発部員とのやりとりを欠かしません。ここでの遅れが会社の成長に大きく影響するからです。

開発中の製品を既存顧客に開示して、意見を求めることが、大変重要と考えています。

社長はこの開発法を「ツアー方式」と呼んでおり、2社以上の会社の採用予定のない製品は上市されません。

また、自社完成品については、市販先発品を自社で改良し安価に提供するということに徹しており、まったく世の中にない新しい製品を市場に発売することは、ありません。なぜなら、中小企業の器で新しいニーズをつくることは資本的に、難しいからです。それよりは大手が開発した製品のリニューアルのほうが市場からの要望が明確であると考えています。これは弊社なりのベンチマーキングといえましょう。

あらかじめ顧客の要求を開発品に盛り込むことにより製品化された際の成功率・成熟度を上げるもっとも効果的な方法と考えています。弊社の40社の顧客の眼鏡にかなうものが開発できないものは、製品化されません。

よって、開発は製造を見越した設計でありますので、開発に用する複数年の間に実製産化までの検討を行います。「量産化技術は金で買え」というのが社長の口癖でありもともとの開発をスキンケアに限定することで開発・製造も選択集中が、可能であり弊社の強みとなっています。

事業で得られた利益はよりスマートな量産技術を実現するための製造設備投資ししようされますので、専業化の強みがここで発揮されるわけです。

また、顧客の開発した製品の加工ビジネスでは、顧客の価格要求の実現が最重要課題となります。そのため、既存の製造から作り出された標準工程原価表を毎年作成することで、素早い見積もりの作成を実現しています。

また、このビジネスでは工場管理についても顧客の厳しい目が注がれます。いわば工場そのものが商品といえます。

そのため、常に工程管理、衛生管理、従業員管理などの向上が、求められます。弊社では、そのために各ラインごとの緻密な製造スケジュールが立てられます。これらは、6ヶ月先までの細かな工程まで入れたものであり、弊社の製造管理にかかせないものです。

弊社ではこれを「バンキョー製造管理スケジュールシステム」と呼んでいます。弊社の製品のすべてが受注生産品でありそれぞれに納期が設定されていることから、最適なスケジューリングこそが弊社の製造業務にとって必須条件なのです。最も効率的な生産とは、出荷前日に製造・品質管理試験が終了することであり、これによって不良在庫を減らし原料・資材在庫の最適化が図れます。このスケジュールは各部門の責任者が参加して作成され従業員すべてがいつも閲覧できるようになっています。そのため、全員で物作りに参加できるのです。スケジューリングこそが弊社の最も大切な生産管理・利益管理手法といえます。顧客の急な仕様・納期変更要求にもこのシステムを活用することでフレキシブルに対応できています。これは、弊社が顧客に支持される大きな要因です。

加えて各製造ラインの品目ごとの変更のスピード化も利益確保に欠かせません。予定どおりの進行を行えるための設備導入・マニュアル化・作業者教育も重要な戦略です。

弊社の理念にある顧客への迅速・安価・確実・快適なサービス実現をお客様に実感していただけること、このことこそが、重要と考えます。

この成果を確認していただくため新規顧客はもちろん既存顧客には、年1回の工場査察をしていただき、指導・改善を行うようにしています。

また、他工場の見学を行うことで、それらを進化させる努力をしています。

上記で掲げた戦略には具体的目標のあるものとないものがあります。

まず、スケジューリングには6ヶ月先まで作成することを目標としています。各製造の工程は不良の内訳を明確にしてそれぞれに目標値の設定を行っています。また、それぞれの標準工程時間を設定して、生産最適化を目指しています。

開発業務はその性質から1年単位でのスケジューリングしかできていません。

各指標についての評価・改善については日々行っております。

やはり、最大の課題は最適納期を実現することです。納期にあわせて以前から製造するということで現在は対応していますが、よりジャストインタイム製造ができるような改善が必要です。

開発業務も製造に近づけるような工程管理が望まれています。

4.2 戦略の展開

戦略の展開には、話し合いが欠かせません。各部門代表の3名の経営幹部はそれぞれ机を並べて仕事をしています。以前は別々の部屋で仕事をしていましたが、話し合いや情報の伝達に支障をきたすようになり、本年の6月よりワイガヤな井戸端会議システムをとることにしました。大企業であれば不可能なことですが、全従業員50名の中小企業ならではの方法です。また社長自らが、各作業に深く精通していることもワイガヤが運営しやすい理由です。

また、戦略の展開には、各従業員の認識・能力の向上が欠かせません。

年度ごとの戦略での単年度計画の数値目標は、経営コンサルタントとの月1回の話し合いで現状確認が行われています。この作業はコンサルタントと社長、専務の3名で行われることが多いですが、その会議の中で必要に応じて従業員との直接面談も行って戦略計画の実効性を向上させるようにつとめています。

戦略の実行展開ではビジネスパートナーとの連携も重要です。6ヶ月先のスケジューリングをパートナーと共有することで、その整合性をはかっています。これは、パートナーと同じ情報で考えるという点で好評を得ています。

策定された計画についてのリスクは、それぞれに存在しています。もっとも大きいリスクは予定された納期に製造ができないというものです。これは宅配ピザの配達時間と同じく弊社のサービスに重大な影響を及ぼします。これの把握については6ヶ月単位でのスケジューリングに加えて1週間単位の人員配置を含めた細密スケジュールを作成して対応しています。また、万が一の製造設備の故障に対応するため、予備機を準備することを怠りません。これは弊社の工程が、クリーム剤、軟膏剤、液剤の数種類の製造工程に集約されることから機械に兌換性を持たせていることで実現できています。

また定期的な機械のメンテナンスや作業室の環境試験を行うことでこのようなリスクを回避する努力を行っています。

それぞれの評価は定期的に行われ、そのたびに改善が行われています。課題の取り組みは毎週の従業員研修会と呼ばれる従業員会議で話し合われ、それぞれに達成時期の確認を行っています。

5.個人と組織の能力向上

5.1 組織的能力

弊社では、組織の価値観やビジョンに共感しやる気を出すために朝礼の推奨をしています。朝礼は全従業員が集合する月1回のものとグループごとに行われるものがあり、いずれの場合も企業理念の斉唱を最初に取り入れ価値観の共有を行っています。

また、従業員の採用については、現在全国の大学、地元の高校、ハローワークなどを通じて不定期に行っています。会社の規模にあわせて必要なときに必要な人材を集めるというのが社長の考えです。

また、ホームページには弊社の考え方やフィロソフィーを示すようにしています。その中でも、社長である松浦信男の発言などをたくさん載せて企業の特色や考え方を明らかにしています。弊社の入社を希望する人はあらかじめこういった資料により会社について知ることができます。また、面接の際でも仕事内容を実際に見学して作業を確認し、希望するものは実際の作業に近い試験を行うことで能力や適正の確認を行っています。また、その際に作文を書いてもらい、夢の実現のために自分が会社でやってみたいことを書いてもらいその内容も採用の際に参考としています。

配置については現在、総務、製造、品質管理の4部がありそれぞれの希望や適正を考慮して会社が定めています。弊社の教育は先輩が後輩に指導するある種、徒弟制度のような指導を行っています。そのなかで、自らのやる気を発揮することで、社員、リーダー、部門長という順に昇格できるしくみになっています。

また、社員が社内外の人とよりよい関係を構築するために全社集会、成果発表会、研修旅行、誕生会などを通じて組織的能力を高める働きかけを行っています。

従業員の体系はフルタイムの社員(月給制)、フルタイムの契約社員(時給制)、パートタイムの契約社員(時給制)、派遣社員の4つのスタイルで成り立っています。雇用形態によって仕事や待遇に差はありません。

それぞれの意志と実績と評価によって体系の変更も可能です。雇用形態による差別をなくすことは社長の強い思い入れからです。実際に契約社員のリーダーが社員の上に立ち指示することも日常的に行われています。

組織内の協働についてはリーダー会議、従業員研修会などを通じて行われています。

現在は、リーダーの意識を高めるにはどうすればいいかが、課題となっています。3名の経営幹部ならびに総務部のリーダーは常に社長と机を並べていますので、教育の機会が日々あるといっても過言ではありません。しかし、現場のリーダーは日々の製造や開発におわれています。

弊社では今後、このリーダーの数を拡大して3名に1名がリーダーとなるような少人数体制のチームづくりを目標としています。すべての人にリーダーとなってもらえるチャンスを増やしたいと考えています。人は他の人のために何かを考えるときに、最も成長するものです。組織能力すなわち人の能力向上であると考えます。このことを理解させるには、現在のリーダーが喜びを持って仕事にあたっていなければ、誰もリーダーになりたいとは、思わないでしょう。

よって、現リーダーの教育のために有名経営者の著書(たとえばドラッカー名言集)などを社長と一緒に読み解く勉強会を行っています。この勉強会はCDに録音されており明日のリーダーを目指す他の社員も聞くことができます。

目標の設定と達成状況の把握については、従業員の入社資料を通じて従業員が会社に求める姿の調査を行っています。ここでの成果を従来の成果と比較することで、成長を促しています。これらの改善・革新を進める上での課題の発見は主に上で述べた2つの会議で発見されることが多いです。

その中で多いのはいかに各部門間の連携を密にしていくかです。それぞれの決めごとをいかに各部署に間違いなく伝達し理解を深めるかが課題です。

これについては、達成の時期を設定していません。

5.2 社員の能力開発

組織の目標を達成していくためには、今後、企業理念のより深い理解が必要です。また、そのためには各人がいろんな種類の仕事をこなすことのできる能力と経験が必要だと考えています。

また、顧客のことをより理解するには社長や営業部と従業員の対話がもっと必要と考えます。

社内外の協力関係を強めるためには、企業人としての従業員の人間的成長が欠かせません。それとは別に会社としては、社内外の関係についても企業理念にのっとった自らのみの利を強く否定しています。

今後の弊社の専門性・顧客理解・協力関係を高めるために社長は全従業員の心身共の向上を強く願っています。

具体的な方法については、弊社では社員の能力を高めるために、全従業員のキャリアアッププランを実行しています。

人にはそれぞれもって生まれた特性や個性があり、なかなか一つにまとめることは難しいものです。しかしながら、会社は個人の能力を集団力に変えていかなければなりません。そのために作り出されたのが従業員それぞれの習熟目標をさだめたプランなのです。

これを作成し実践することで、部門間上下間のコニュニケーションがはかられ、各人の努力と成果が客観的に認識することが可能です。ここでの成果は賞与や昇給の重要な資料となっています。年2回の査定の結果は個人面談で知らされますが、その際に自分の点数を知ることができます。キャリアアッププランはそれぞれの従業員にオーダーメイドの個人指導という形で行われますので、このことで、自部門での自分の位置やこれから取り組むべき課題についてよく考えるようになります。弊社では、多くの種類の仕事をこなすことのできるマルチプレイヤーを高く評価しています。このことは、仕事の進めやすさだけでなく他者とのコミュニケーションに重要なことです。言い換えれば、「相手の仕事ができる人は相手の気持ちがわかる人。」であるということです。このことは弊社社長がもっとも強調して従業員に伝えようとしていることの一つです。そのためキャリアアッププランの最終面接は、かならず社長を交えて行うことになっています。この際には本人の努力をねぎらうとともに配置転換や転属についても話し合いができるようになっています。

また、教育訓練については現在リーダー社員以上については週1回の従業員研修会を実施しています。

全従業員については各部署で行われる朝礼をはじめとする各種ミーティングや全社研修会を開催しています。

また社長から社員能力を開発するに適当と考えられる本を定期的に配布しそれについて感想文を書き提出する「バンキョー読書コンテスト」を実施しています。

その中で社長は「各人のものを考える深さが、会社の宝」と言っています。そのためには、知識を自らで汲み取る読書を社長は「最も大切な研修行為」と位置づけています。社長は「インプットを超えるアウトプットは、この世に存在しない。」といつも力説しています。

また、その一環として弊社従業員のありかたを諭した「バンキョウフィロソフィー」を題材にした論文大会も実施しています。

毎月1回行われる当月誕生を迎える従業員を社長室に招待して一緒に昼食をとる「バンキョー誕生会」では、直接社長にプライベートも含めて触れあえる機会として好評を博しています。社長の考えでは、家庭よりより楽しい会社を目指すのだそうで、そのためにもこの会は重要と考えています。

「社長直行便!万協をもっと、良くしよう提案書」も社長との直接対話が公開で楽しめるという点では、提案した本人とともに他の従業員にも影響を与えています。

また、社長が所有する膨大な書籍類、CD、DVDなどの音源・映像ファイルを会社設備にて全従業員に公開することで、広いジャンルでの学びの姿勢のすすめを行っています。

明治以来日本人が目指した「個人主義の確立」には「会社での集団力の結集の経験」こそが最重要と社長は常に言っています。現在の日本では、真面目に考えることが、重要視されずに享楽を追求する人間こそが、人生を楽しんでいるように言われています。社長はそのような傾向に、おもいきりNO!と言います。一人の人間の考え方に共感して自分もその輪に加わりたいと思い積極的になっていく、社長はこの現象こそがすべての会社の原点であるべき、と言い切っています。

社長はこのことをひとことで、「私のファンになって欲しい!」と表現しています。

彼が日本を変えることは難しいかもしれません。しかし、せめて自らの関係する内外の組織はこの思いを伝えていきたいと社長は常に話しています。

社長とともに人生を考える会社、そんな会社があっていいのではないでしょうか?

社長の各地での講演の記録は各メディアに記録されバンキョウコミュニケーションボードを中心としていつでも従業員は接することができます。

目標の設定と達成状況の把握については、各種の会の開催度やその満足度を調査するようにしています。

また従業員の個人の仕事での成果は、大半がキャリアアッププランに集約されています。ここでの成果を従来の成果と比較することで、成長を促しています。目標は前年度10%以上の向上です。

これらの改善・革新を進める上での課題の発見は主に各種会議とキャリアアッププランで発見されることが多いです。

その中で多いのはいかに各部門間の連携を密にしていくかです。それぞれの決めごとをいかに各部署に間違いなく伝達し理解を深めるかが課題です。

これについては、達成の時期を設定していません。

また、多くの従業員がさまざまな研修活動に参加できるしくみづくりがもっと求められているようです。

5.3 社員満足と職場環境

社員が仕事を通じてお客様や社会に貢献できたかについて、弊社では各種の会議や集会を通じて社員に問いかけています。

弊社では、社員が満足にいく仕事をするために経営者や上司の支援や組織作りの状況について、「従業員満足度調査」を行っています。これは、キャリアアッププランの従業員面談のあとに行われているものです。ここでは、お客様や社会に対する社員の貢献度に対する会社側の支援が十分であるかどうかについて問いただしています。

また、これらが十分であるかどうかについての判断する基準は特に設けていませんが従業員満足度調査を通じて、おおむねつかめているものと考えます。

社員が仕事を通じてお客様や社会に貢献する意欲を持つことについて、いま一番課題となっていることは、各人の仕事がいかにそれらと結びついているかということへの認識の薄さだと思います。これは、自身の仕事がお客様や社会に結びつく全体像を描けないと言うことだと思います。

この課題を克服するために弊社では、各種の集まりの中でお客様・社会との共存を伝えるようにしています。

社員が満足のいく仕事をするために、会社がなすべきことで不足していることは、経営者とのコミュニケーションとエンパワーメント、適正な組織への定期的な変更だと思います。これについては、「社長直行便!万協をもっと、良くしよう提案書」という社長への従業員からの提案書の内容を重要視しています。会社が拡大するにつれて、社長が直接、話し合える社員が限定され、それによって不安や不満があることを、この社長への提案書から知り得ています。これらの内容を精査することで、社員満足と職場環境の有効性について、「全従業員のやる気とエンパワーメントの同質化」を目標としかた、改善、革新を行っています。

目標の設定と達成状況の把握については、「キャリアアッププラン」と「社長直行便!万協をもっと、良くしよう提案書」のより充実を目標としています。具体的には、前者においては、現在、各部門で個別に行われている目標設定や評価を全社統一の基準として評価できる内容を追加することや顧客や社会の理解・貢献といった項目を追加したいと考えています。後者については全社員月1件の提案提出を目標としています。

達成状況の把握としては提案件数の把握や従業員満足度調査などを行っています。

「社員満足と職場環境」の評価・改善につきましては、キャリアアッププランの評価については、毎年行われる従業員満足度にて行っています。

これによって明らかになった課題は、従業員の能力向上意欲や仕事への考え方に差があることです。これらのことについてすべての従業員が同じになることはないと思いますが、会社として求められる従業員の姿勢についての教育を行うべきと考えています。

そのことを、キャリアアッププランの中に導入して、また評価・改善につとめたいと考えています。

「社長直行便!万協をもっと、良くしよう提案書」の評価については、提案に対して社長が返した答えを全従業員に公開するとともに、定期的に追跡してその状況も報告しています。

このことによって明らかになった課題は、会社で起こっている出来事や決めごとが十分全社員に伝わっていないことがある。ということです。

これについては、新たな伝達方法についてたとえば、社長とリーダークラスとの対話の回数を増やすなどの検討を現在、行っています。

6.顧客価値創造のプロセス

6.1 基幹プロセス

弊社で新製品の開発のときに一番大切に考えていることは、「世の中のためになるものをつくる。万協製薬の製品・サービスは、安心・安全・安価であり弊社を利用してくださった顧客を絶対にがっかりさせない。」という強い思いです。

職業に貴賤はない、とよく世間では言われています。しかしながら現実の社会では、顧客がそれぞれの企業に求めている期待や責任度合いには、ずいぶん業種や企業によって差があるのではないでしょうか?

弊社が手がけているスキンケア製品は現在、医薬品が大半を占めています。この医薬品を例にとって考えてみましょう。虫さされの薬は、かゆみがとまらなくてもいいでしょうか?水虫の薬は、水虫が治らなくていいでしょうか?答えはNO!だと思います。では、それぞれの症状が薬を使うことで治るとしても、副作用があってもいいでしょうか?これも、答えはNO!です。では、虫さされの薬や水虫の薬がいくら安全で効き目があると言って1個五千円~一万円したら買って頂けるでしょうか?これも顧客からの答えは、NO!です。弊社がテレビでCMをしていなくて上場もしていない会社だからといって日本の大手有名製薬企業の製品に比べて質感が悪かったりしてもいいでしょうか?これもNO!です。パッケージの中に髪の毛が入っていたら、どうでしょうか?製品に直接ふれない部分だから顧客は、気にしないでしょうか?

つまり弊社の手がけている製品やサービスは、顧客の期待がきわめて高い市場といえます。とくに日本人は薬に特別な思い入れや期待をもっています。聖徳太子が奈良県に建立した薬師寺の役目は、薬を調剤して渡す「くすりや」でした。人気の時代劇の水戸黄門が出す印籠は実は旅行中の携帯薬入れです。日本では、医は人術といわれます。医者の対応が大切だということを諭したことわざです。しかしながら、本当のところは医は薬術の度合いが高いのです。日本では、医師の診察を受けること=薬をもらうこと、という考えが古くからあります。安心・安全・安価な医薬品の提供は、実は日本国民の共通した願いなのです。これは弊社が手がけているスキンケア製品でも同じなのです。弊社はこのような日本社会で創業いらい45年この思いを忘れることなく大事にしてきました。

新製品を開発するときの考え方の順番は、「弊社がその新製品を手がけることで、他者との差が企業理念にうたっている内容において差がつけられるか?」ということをまず最初に考えます。日本中のスキンケア製品をつくることはできないわけですから、弊社が手がけるべき仕事については十分なる調査や吟味を行います。

また、新製品の開発のはじめの段階で確認している情報としては、まず、顧客である40社のお客様の意見を最大有効情報としています。彼らは直接、販売店や医療機関に接点があり専門の企画・営業部門を持ちスタッフを抱えています。弊社は自社で販売組織をもっていませんので、顧客からの要望は最優先実現項目としています。これらの顧客の要望を対話によってつかみ、実現していくことが仕事の最初でかつ最大に重要な手法と位置づけています。

顧客との対応は、営業の責任者である社長、営業スタッフをはじめとして各部門のスタッフも参加して行っています。この顧客との全社部門との対話やコンサルティングを弊社は、最も重用に位置づけています。

市場情報については、雑誌、放送媒体、店頭、ビジネスパートナーなどから入手しています。技術情報は、定期的に購読している専門技術誌、各セミナー、研究会などから得ています。自ら保有している技術や情報も含め顧客との重要なコンサルティングに活用しています。また、自社が45年間に実験を繰り返してきたスキンケア製品に関するデータはもっとも、独創性が高く有効な情報となっています。

これらの自らが保有している知識や情報は、会社の書類は文書保管室に、デジタルデータは自社のコンピュータサーバー上に分類され保管されています。そのため、必要な情報を必要な人間が自由に取り出すことが、可能です。

製品を作るときの手順ですが、弊社は基本的に製造する大半の製品が「相手方の求める仕様による受注生産」です。ですから、顧客が、いつ、どのような製品をどのくらいの数量必要かということを知ることが大切です。

まず顧客からの受注を前もって6ヶ月先まで、前期の売り上げ実績データを元にして話し合いなどの方法でつかむようにしています。顧客はつねにジャストインタイムの生産を望みますが、弊社の100種類を超える製品を品切れすることなく供給するためには、少なくとも4ヶ月前の予定注文・2ヶ月前の注文確定が必要です。弊社がアウトソーシングサービスを続けていくために、実は最も重要な仕事がこの製造スケジュール管理なのです。これを、弊社では「万協生産管理システム」と呼んでいます。自社で作った製造予定を、コンピュータ上の、一連の細かいスケジュール管理ソフトに落とし込んでいきます。

これによって、製造管理が誰でも目で見て分かるようになっています。よって材料調達のタイミング、人員の調達や製造機械の管理、出荷のスケジュールなどが関連して作成され、各社員のパソコンで確認できます。このことは、情報の共有化を容易にしておりまた、顧客との仕様や納期の話し合いについても重要なツールとなっています。すべての会社の業務はこのシステムの延長線上にあります。商品管理、物流管理、納期対応、製品をつくるときの量・質の確保、コスト管理、在庫削減などもこのシステムを細かく運用することで、改善をおこなっています。

また、工場での製造設備についても予算を決めて各ビジネスパートナーから生産改善のための設備投資についての提案を受けその中から有望なものの順に実現しています。弊社の社長の考えは「量産化技術は金で買え!」です。平成7年の地震によってすべての設備を一瞬にして失った社長には、人一倍機械への思いが強いのです。年々増え続ける顧客の要求の実現には機械による製造が不可欠です。社長はいつも「ノウハウやスキルは基本的には個人にしか、宿らない、しかしそれを補い会社の集団力として残す方法がある。それは、人と人の間に機械を入れることだ。」と言っています。弊社ではそのため機械やその工場環境の設備投資に力をいれています。また、できるだけその際も業界で定評のあるメーカーの機械設備を購入しています。つまり、自社だけで仕事の改善を行うのではなく積極的に外部の機械メーカーのビジネスパートナーの意見を入れて工程の改善を行うべきだということです。人の能力はそれぞれです。会社が求める要求を実現するためにはペースメーカーとしての機械と人との調和が必要なのです。機械を使って、仕事をしなければ量産化技術は進歩しません。そのためには、他業種の知恵を借りることが重要だということです。毎年原価率2%ダウンが目標です。

製品を販売するとき手順ですが、弊社では受注目的の顧客訪問専門の営業担当の社員をおいていません。相手先が訪問を希望する場合も、社長自らが顧客を訪問することが多いです。これは、弊社のサービスが自社工場を使って行われるものであることから、打ち合わせが弊社で行われることが、多いことから専門の担当を作らなくても工場のそれぞれの担当が対応することでスピーディーな打ち合わせが可能です。

ですから、ある意味新しい顧客獲得には熱心でないといえるかもしれません。それよりも既存顧客に満足のいく製品の提供を重要に考えています。

製品の提供には、相手から仕様を決めて、仕事を依頼されるものと自社が開発した製品を提供する2種類があります。自社開発品はその製品が開発の最初の段階から有望であると判断される相手先に情報を開示しながら行っています。

販売はすべて相手先の顧客が行っていて、自社では自ら最終消費者への流通に携わっていません。ですから、販売に必要な情報は販売先顧客と製品を販売している販売店での店頭調査から得ています。また、自社工場での100種類の販売数も情報として活用しています。

製品を販売するときの売り上げ・利益確保には自社の「製造原価表」を細かく作成しています。これは毎日の生産表と呼ばれる製造時間・製造数量・ロスなどが記載された表から算出されます。ここから導き出される原価や一般管理費を年度ごとに更新することで、実際の工数とコストが釣り合っているかを詳しく調査しています。

価格管理については、最終製品が弊社の名前が表示されているものについて、厳しく管理しています。ある1社のもののみが市場で安価に販売されることのないよう弊社出荷最低金額を定めています。広告宣伝・販売促進については、顧客へのダイレクトメール、業界紙への広告、顧客への会議・勉強会の開催などを通じて行っています。

販売後のアフターサービス・メンテナンスについては、全製品の使用期限+1年の保存サンプル自社内に確保することにより、顧客からのクレーム問い合わせや品質上の問題について迅速に対応できる品質保証課を自社に設置しています。また、消費者相談窓口をもうけて最終消費者の質問や相談に専門の薬剤師が電話にて対応を行っています。連絡先は製品のパッケージにわかりやすく表示されています。この結果は、製品ごとにデータベース化されアフターサービスの重要な情報として顧客と共有しています。

また、発売した製品について、顧客から売れ行き、改良点などを評価してもらっています。相手先仕様の製品については、クレームのあるたび原因調査を行い、報告書の形で原因・改善点などを顧客に開示しています。

また、顧客には、弊社・工場を年1回程度の間隔で査察を行ってもらい、設備・書類・教育などGMPの観点で、改善が行われているかの評価をしてもらっています。

これら上記のプロセスについては、そのつど顧客から意見をもらい改善するようにつとめています。顧客満足度調査については、それぞれのサービスが各顧客によって違うことから、一律の収集が難しく、現在は行っていません。

これらのプロセスの運営が適切であるかどうかは、それぞれの記録を顧客別に管理することで、確認しています。

弊社の組織にとって基幹プロセスの有効性は、顧客別の売り上げという視点から確認することができます。弊社のサービスが不完全で顧客の満足を得られていないならば、売り上げが低下するからです。そういった顧客へは、なぜそのようになっているかを話し合うことで、原因の分析・改善を行っています。

基幹プロセス全体の目標としては、「弊社からみたサービスと顧客側からみたサービスが同じように感じられる、レンタルビデオ店の料金表のようなサービスを実現できるプロセス」を目指しています。なぜ、このような目標を立てたかというと、弊社が日本全部のスキンケア剤をつくることができないからです。これは、物理的に不可能です。であるならば、既存の顧客に「万協製薬に仕事をしてもらってよかった。万協もこの仕事をやってよかった。」という委託側、受託側双方の満足度をあげることこそが、中小企業の規模である弊社の最大到達目標であるからなのです。この既存顧客との親密な関係の維持の先にクリーム剤製造、日本一という究極の弊社の目標到達があると考えています。

基幹プロセスの見直し、改善・革新はビジネスコンサルタントと取締役員による戦略会議、経営幹部4名による経営会議、リーダーを含めた従業員研修会を通じて、逐次行っています。

6.2 支援プロセス

弊社での主要な支援活動は、営業や製造、品質管理の各部門の業務サポートやそこで働く社員の勤務や納税、健康維持などを円滑に進行するための業務です。

これらの業務は主に、総務部が担当しています。現在、総務部は3名と少人数で運営しています。

弊社の業務の中で、大半の連絡は電話、FAX、メール、各種郵便物などによって行われます。それらはすべて一度、総務部の窓口を経て処理されています。内容によって総務部が単独で対応するものと、他の部門と相談しながら処理するものとがあります。いずれにしても、総務部の中での経理課と営業課のいずれかが、対応しています。また、経理部門については外部委託のビジネスコンサルタントに一部業務を委託しています。

これらの支援プロセスの基本的な考え方や運営方法での一番大切にしている考え方は、「スピード」と「確実性」と「経済性」です。その理由は、顧客や弊社の各部門から上がってくる案件は、できるだけ確実に安価で短い時間で処理することを求められているからです。よって、その活動、機能やサービス内容を企画・計画するときも考え方の順番としては、早く、確実、安価の3条件が満たされているかを重視しています。各部門や顧客から上がってくる要求は総務部と経営幹部との話し合いを経て、仕組みのなかに組み込まれます。また、会社のなかにあるコンピュータネットワークや「社長直行便!万協をもっと、良くしよう提案書」も情報開示や意見集約の際に活用されています。

このとき、初めの段階で確認すべき情報としてはやはり各部門や顧客からの声です。

顧客からの「基幹プロセス」への意見や市場情報、技術情報、自らが有している情報をとぎれなく通し各部署との連携を行うことで活用が容易となるよう努めています。

サービスに必要な要素を準備・用意するときに必要な情報は、それぞれの部署や顧客からの発信に頼っています。それぞれのプロセスの管理・改善、不具合の発見、問題の再発防止についてはそのつど、必要な場合に行っています。

このプロセスが適切に運営されているかは、電話の呼び出しコール回数、従業員満足度調査、顧客からのクレームの回数や返答までの時間などで、確認を行っています。

支援プロセス自体が3名と少人数の実行によるため、運営については必要と思われる事項の発掘より依頼を受けて行うことのほうが、多いです。しかし、弊社の支援プロセス実行員は弊社の経営幹部と机を並べていますので、打ち合わせや決定に至るまで、スピーデイで確実な対応が実現できています。今後とも少人数でスピード、確実性、経済性を兼ね備えた状態の支援プロセスでありたいと考えています。

弊社としては支援プロセスは、実質上経営幹部もサポートしていますので、改善・革新については十分日々行われているものと、考えています。

目標の設定と達成状況の把握は、電話の呼び出しコール回数、従業員満足度調査、顧客からのクレーム対応と返答までの時間などで把握しています。

「支援プロセス」の評価・改善につきましては、自社の各部門、顧客からの要望によって改善していきたいと考えています。

6.3 ビジネスパートナーとの協力関係

弊社が外部に協力を仰いでいる仕事は、1.弊社製品の製造・品質・環境管理に必要な原材料の製造メーカーおよび調達商社(約20社)2.弊社製品の製造・品質・環境管理に必要な自社設備の機械製造メーカー及び商社(約10社)3.弊社取扱販売品を製造しているメーカー(2社)4.弊社に勤務する社員の福利厚生を目的とする会社(2社)5.外部からの派遣人員を選定し、弊社に派遣する派遣会社(5社)6.弊社の経理・納税事務をアウトソーシングしてもらっているビジネスコンサルティング会社(1社)と大きく分けて6つに分類されます。

これらのビジネスパートナーの選定基準は弊社の企業理念にかなっているかどうかということを、第一の選択条件としています。なかでも、企業理念5条にある「万協製薬は、独創性を持ち迅速・確実・安価・快適であることを最高の価値基準とする。」の条件を満たしているかどうかを重要視しています。

これらのビジネスパートナーへの弊社が求めるサービス内容、品質、納期や価格、改善提案については、経営幹部会議、リーダー会議、従業員研修会などで話し合われ、それぞれの担当者から直接、電話、FAX、場合によっては相手の会社を訪問して伝えています。

仕事を迅速に進めるためにビジネスパートナーとの情報共有は重要です。弊社では、ビジネスパートナーとの話し合いにはその必要とする直接の場所をみてもらい、部署の担当者を同席させています。よって、パートナーはより具体的に弊社の要求を理解できます。また、社外の資材担当メーカー同士が直接連絡をとり連携して仕事を円滑に進めてくれるようにもなってきました。なかには、弊社顧客に打ち合わせで訪問してくれるパートナーまで出てきています。すべての担当者に社長は面識があり、会うたびに社長自らが、自社の状況、考えについて熱く語っています。いわば、弊社にとって彼らは社外社員なのです。ですから、短い期間での担当変更には意義を申し立てることがあります。それが、パートナーにとって良いことにはならないことを話すようにしています。

しかしながら同時にパートナーの提案が、世間的に見て妥当であるかどうかを弊社は知らなければいけません。そのためなるべく2社以上に同じ提案をすることで、パートナー同士良い意味で競合させ、より良い成果を得られるようにしています。

弊社では、 お互いが共存共栄をはかるため、弊社ではパートナーに対して不当な値引きを要求することはありません。あらかじめ、パートナーには、弊社が見積もりを尊重することを伝えて、最初からベストプライスで交渉してもらえるよう伝えます。そうすることで、よりよい提案を相手からしてもらえることを弊社は、経験しています。ここに「量産化の技術は金で買え」という社長の考えが、生かされています。

ビジネスパートナーとの協力関係がうまくいっているかどうかの確認は社長がそれぞれの担当者にその都度、状況を問い合わせることで確認できています。

弊社の目指すべき主要なビジネスパートナーとの協力関係とは。「万協製薬と取引して良かった。」とすべてのパートナーから、思われることです。つまり「共存共栄の共闘態勢」こそが21世紀のコラボレーションだと考えているのです。

現在の姿が理想的な関係と考えていますが、協力関係の見直し、改善・革新については、新しいパートナーにもできるだけ門戸を開くようにしています。新規の業者が訪問もしくは、こちらから調査して話をするときも積極的に会って話をしています。そのことで「新しい血」を入れるようにしています。また、既存のビジネスパートナーとの協力関係を調査する相手先満足度調査も考えてはいますが、どのようにしたら正直な結果が得られるのかわからず、まだ実施していません。

7.情報マネジメント

7.1 経営情報の選択と分析

経営情報の選択と分析については、弊社の業績、業務が8年間で20倍の成長を遂げたことから、重要度は認識しながらも数字の把握にとどまっている感があり、いまだ自社内で体系化して整理されていない分野です。

組織全体および各部門の業務能力についてですが、まず、会社全体としては総売り上げ、取引先別売り上げ、また、それぞれの利益などの経営指標につきましては、毎月1回試算表という形をとって総務部が作成しています。

製造部では、各製品ごとの不良率、製造ラインの稼働率、製造予定に対する進捗状況等を具体的な数字で把握しています。

品質管理部では、製品ごとの出荷試験データ、試験にかかった時間、製品開発の進捗状況、顧客との打ち合わせのまとめ等を具体的な数字で把握しています。

事業環境、市場情報などについては民間の調査会社のデータベースにおける自社の比較という形で把握しています。また、人材や技術動向 については業界紙やデータベースを利用して各部門が、自らの判断で集めた物を各種会議や研修会で話し合って共有しています。

競争相手は同じような医薬品を中心としたスキンケアアウトソーシングに特化した会社が、日本で10社あまりしかありません。ですから、選択をせずともそれぞれの会社の動向については、比較的、業界内の情報網によって掴めることが出来ています。

また、ベンチマーク対象企業は、スキンケア製品の製造販売を自社ブランドで行っている企業、スキンケアで医薬品以外の化粧品などの加工を行っている企業、スキンケア以外の医薬品の加工を行っている企業、食品工場などについても製造工程が近似していることから 大きく分けて4種に分類して選択しています。

上記に競合相手、ベンチマーク先については、選択し、意識しているものの、企業業績や内容を資料によって、掴んでいることと、可能な場合はお互いに工場訪問をして相互に研究・分析を行うようにしています。

7.2 情報システムのマネジメント

弊社では一昨年にビジネスパートナーであるコンピュータシステム会社に依頼して、「バンキョーイントラネット」と呼ばれる社内パソコンネットワークシステムを稼働させました。このシステムの導入は、数年前のある顧客からの弊社への査察が、原因でした。

弊社の医薬品アウトソーシング製造業という職業柄、新規顧客は必ず、弊社の工場見学と弊社の管理システムを書類や担当者による面接を要求してきます。

その顧客は日本で最も大きな小売業のバイヤーだったのですが、彼から、「従業員教育訓練の個人別の記録を見せて欲しい。」との要求がありました。その当時、弊社は全体の教育訓練の記録しか持たず、それを見せたところ、個人別の記録がないこと、それがデジタル化されていないことが問題であると指摘を受けました。

最初弊社では、大会社らしい指摘なのだろうと思ったのですが、面接を担当した弊社社長の松浦は、その理由を聞いてみたのです。すると、「デジタル化されていない書類はないのと同じである。なぜなら、必要なときに必要な人間が閲覧できないと、書類は機能しないからである。」との回答を得ました。

弊社社長は、その後もこの指摘について考え続けました。確かに弊社では、いろいろなマニュアル、手順書、標準書は100冊以上あるのにその書類は1冊しかなく、それらの書類は経営幹部のいる部屋のキャビネットに入っているだけでした。

「本当にこれでいいのだろうか?」そういう疑問を抱えるようになった社長が、そののち経営品質に出会ったのです。それぞれの会社の幹部の方が、三重県での講演の際に「エンパワーメントが必要」という言葉を多用されました。日本語では、「情報公開による権限委譲」です。弊社社長は、この言葉にいたく感銘を受けました。この言葉を自社のものにするために、経営品質を導入したと言っても過言ではありません。

よって、「すべての書類をデジタル化しよう!」という社長の発言によって弊社の情報システムは始まりました。

現在、新しく作られる書類は必ず「バンキョーイントラネット」に公開されています。もちろん、セキュリティーが必要な書類については、あらかじめ決められた暗証番号を入力することによってアクセスができるようになっています。また、工場間の情報の伝達には、データ送信する際に情報を暗号化することによって外部からの侵入を阻止しています。

会社内の情報や連絡がネットに載るようになり、誰がどのような情報を必要としているかが、以前より掴みやすくなり、それに対する情報の提供も容易になりました。

ただ、あまりに情報量が増えすぎているため、より利用しやすい情報の体系化が求められています。

保存してある情報が消えたり、壊れてしまったりしないようにするための対策は、まずイントラネットの情報は、ミラーリングシステムと呼ばれる方式によって必ず、本体とは別に常にコピーハードディスク上に作成されています。また、原始的ではありますが、紙による出力も行って、万が一に備えています。

この中の情報に間違いがなく、信頼できるようにするために既存のコンピュータで部門担当員がそれぞれに作っていたデータをネット上に統一規格として載せるようにしています。そのことで、相互のチェックがされ、情報の信頼性を高める工夫としています。

情報システムを構成するハードウエア、ソフトウエアの選定や運用規則は、経営幹部と総務部の合同の話し合いで行っています。

イントラシステムについては、年間数回のシステム会社との打ち合わせのなかで改善について話し合っています。また、保守契約を結んでおり緊急のサポートについても対応できる信頼関係が、システム会社と構築できています。

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